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第一回オールジャパン メンズフィジーク&フィットネスビキニ選手権 決勝リポート (1/3)

メンズフィジーク・オーバーオール審査
(左から)176cm超級優勝・齋藤真人、176cm以下級優勝・長谷川浩久、172cm以下級優勝・坂井大樹、168cm以下級優勝・中浜貴昌


華やかなオープニング


記念すべき第1回メンズフィジークとビキニの日本一を決める、日本メンズフィジーク選手権、オールジャパン・フィットネスビキニ選手権が2014年8月31日大阪市のエルおおさかにて、総勢130名以上のエントリーを受け、盛大に開催された。

各クラスともハイレベルの中、メンズフィジークでは168cm以下級・中浜貴昌(広島)が、172cm以下級では坂井大樹(滋賀)が、176cm以下級では、5月に開催された大阪オープンで優勝した有馬康泰を、新進気鋭の長谷川浩久(大阪)が抑えての優勝。そして176cm超級ではこのクラス無敵の齋藤真人が優勝した。

フィットネスビキニでは、158cm以下級で伏兵の大里晴香が有力者を抑えての優勝。163cm以下級では荻山はるかが大阪オープンに続き連勝。163cm超級では、地元大阪の大声援を受けて初めてビキニカテゴリーに挑戦した新井敬子が優勝をおさめた。

そしてオーバーオール。メンズフィジークではボディビルダーに引けをとらない筋量を持つ齋藤真人の優勝を誰もが予測していたが、激戦の176cm以下級を制した若手の有望株・長谷川浩久がクラス優勝の勢いのまま生き生きとしたポージングと均整のとれた身体が評価され、初代日本チャンピオンに輝いた。

また、フィットネスビキニでは、ボディフィットネスで実績のある新井敬子が伸び盛りの二人のはるかを下して総合優勝を飾った。

 

第1回 日本メンズフィジーク選手権 決勝進出者

 

168cm以下級

左から6位・山下公仁(宮城)、4位・衛藤雄一(東京)、3位・宇野明訓(神奈川)、2位・西村卓(大阪)5位・木下昭文(東京)、1位・中浜貴昌(広島)


ピックアップの段階で3番・中浜、12番・西村、17番・宇野の優勝争いになるだろうと予想できた。最終的に3名の中で欠点が無く最もバランスのとれたカラダ、そしてポーズが安定していたのは優勝した中浜であった。ボディビルではミスター広島のタイトルホルダーでもあるほどの大ベテランだけに、終始落ち着いた燻し銀のステージングは非常に印象が良かった。

2位・西村はプロポーションが良く、ステージ上の表情がとても良く好感度の高い。肩周りの筋肉も充実した選手であるが、中浜と比べると上半身が長く見え、不利に働いてしまう。ちょっとしたポーズの変化をさせることで改善できるのではないかと思うので、是非とも研究してもらいたい。

3位・宇野もボディビルでは東京クラス別の優勝者であるほどの実力の持ち主である。脚が非常に発達した選手であるのに、カーフ以外の脚が評価対象にならないこの競技に参戦してきたことにまず敬意を払いたい。このクラスでは最も筋量があるので、ポーズのとり方に慣れさえすれば、フィジークでもショートクラスで世界を目指せる逸材であることは間違いない。

4位・衛藤は初めて見る選手だがバランスが良く、全体の雰囲気が良く格好いい選手なので、出場回数を重ねて、顔を覚えられれば、自然と順位は上がっていくだろう。

5位・木下は最も厳しい仕上がりで、この大会に臨んできた。ボディビルで活躍する選手で、今回初めてのフィジークということで、力み過ぎであったが、脱力ポーズをとれるように練習を重ねれば、フィジークにもフィットする体つきなので、ボディビルとの二足のわらじを十分はきこなせる選手であろう。

6位・山下もボディビルのベテラン選手であり、さすが広背筋の発達は一番である。ポーズも程よく力が抜け、悪くなかった。独特の雰囲気を持つ選手であるが、決してフィジークにフィットしないと言う訳ではない。今後も自身の世界観の中で、フィジークでも極めていってもらいたい。

 

172cm以下級

左から3位・江川裕二(広島)、5位・原謙司(埼玉)、1位・坂井大樹(滋賀)、6位・川出貴士(栃木)、4位・米田将司(兵庫)、2位・桑崎寛(東京)


このクラスは混戦で最後まで優勝者を予測することが難しかった。スケール的には47番・江川、もっとも優れたフィジークの42番・原、最も筋量がある・坂井、腹筋ナンバーワンの桑崎等々、甲乙付けがたいハイレベルな戦いであった。その中で審査員が最も評価したのは5月の大阪オープン大会でも活躍した坂井であった。いかにも硬く強い筋肉を持ち、ややもすると格闘技的なカラダに見えてしまう感じがあったが、前回よりもフィジークらしいカラダに仕上げてきて、一気に頂点へ登りつめた。

2位・桑崎には驚かされた。本誌(PHYSIQUE MAGAZINE)トレーニング企画でも記事連載をしているが、驚異的な仕上がりだった。もともとフレームはコンパクトで、スケール感で勝負するタイプではないが、腹筋の溝の深さ、そして背中の筋肉はうねっていた。坂井の硬く強い筋肉とは対照的に、柔軟性のある質感の良い筋肉だ。

3位・江川は荒削りではあるが、最もスケール感のある選手で、最初に見た時のインパクトは非常に強いものがある。今後細かい筋肉を鍛え、完成度を高めていけば、間違いなくタイトルを獲得していく選手だ。

4位・米田、大阪オープンでも入賞した選手で、安定感があり欠点の少ない選手である。しかし反面、何かアピールポイントが欲しいところ。それが加われば、上位に食い込んでくるだろう。

5位・原は一見すると細めに見えるが、フィジークとしての基本を最も兼ね備えた選手である。個々の筋肉の形状、セパレーションが素晴らしく、完成度は高く全体的にスッキリとしたシャープな体つきをしている。もう少し評価が高いと思ったが・・・。いずれにせよ将来が非常に楽しみな選手である。

6位・川出は独特のポーズであるが、表現力がありいつもキマっている。今後もフィジーク競技に参戦していってほしい。

 

176cm以下級

左から6位・野島賢(東京)、3位・中村厚志(埼玉)、1位・長谷川浩久(大阪)、4位・石本正人(大阪)5位・堂野耕一(大阪)、2位・有馬康泰(千葉)


このクラスは5月の大阪オープンの総合優勝者で今やフィジークの象徴的存在となっている有馬康泰が優勝候補として注目された。そこに大阪オープン3位の長谷川浩久、そして全参加選手中最もバルキーな中村厚志の三つ巴の戦いとなった。バルクでは圧倒的に中村。完成度、バランス、雰囲気では有馬と思われたが、前回大阪オープン大会でもラウンドごとに存在感が増し、ベテラン勢にひしひしと迫っていった長谷川が、その時の勢いを今大会にもそのまま持ち込んで優勝をさらっていった。童顔の長谷川はとてもさわやかな顔立ちをしているが、顔に不釣り合いと思える程、カラダは凄い。バルクは中村と並んでも見劣りはしない。腹筋はまるで粘土で腹部に盛ったかのように隆起している。三角筋、大胸筋どれをとっても丸みのある極上の質感だ。

今回は2位に甘んじた有馬だが、長谷川との差は僅差だ。どちらが1位になっても全く問題はないと思う。優勝候補でプレッシャーとの戦いであったが、5月よりも5kg以上の大幅増量に成功しての出場だった。今回の負けも今後の良い材料となることだろう。

3位・中村はとにかくデカい。ボディビルでもなかなかこのバルクを拝めることはできない。今回仕上がりも良く甘い訳ではないが、今後、ウェストを細く引き締めることに成功すれば、アーノルド等、世界のメジャー大会でも戦えるだけのポテンシャルをもつ。

4位・石本は欠点の無い、バランスの良い選手であるが、やや地味なので、例えば、ヘアースタイルを変える、パンツの色を変える等の研究をすれば、もっと順位は上がるだろう。

5位・堂野、6位・野島は、恐らく本人、納得のいかない結果に終わったことだろう。まわりのレベルが上がっていることは確かだが、両者ともこの位置に留まっている選手ではない。フィジークは単にカラダを鍛えて筋量を増やせばよいというものではない。あらゆる角度で自己を分析して、ステージ上でどう魅せるべきかを研究して今後リベンジを果たして欲しい。

 

176cm超級

左から3位・木全靖陛(岐阜)、1位・齋藤真人(東京)、6位・小坂正太郎(奈良)、5位・岩田卓磨(東京)、2位・谷口健太(兵庫)、4位・黒崎裕幸(東京)


迫力あるトールクラスは全体のレベルもとても高いものであった。しかし出てきた瞬間、優勝は5月の時もクラス優勝をした齋藤真人で決まってしまった。齋藤はそのバルクは然ることながら、いつも非常に厳しい仕上がりでのぞんでくる。また、常にクールな表情で笑わない。笑顔は作らない。人によっては笑顔で好感度を上げるべきだと言う人もいるが、私はそうは思わない。選手それぞれの個性や美学にのっとった形であるべきで、齋藤の表情はカッコいいと思う。

2位・谷口は今回、-168・2位の西村、総合優勝の長谷川とともに大阪若手三人衆でオーバーオール決戦を誓っての大会だった。彼自身バランスが良く筋量も不足はないのだが、ワールドクラスの齋藤が相手となると分が悪かった。

3位・木全は骨格的に恵まれていて、スケール感たっぷりの選手である。ウェストも細く、目をひくカラダであるが全体に荒削りな面は否めない。今後質感を高め、完成度を高める方法を検討し、次へのステップを歩んで欲しい。

4位・黒崎はバルクがあり、カラダ的にはとても優れているが、初めてのフィジークで自信がなかったのか、うつむき加減が多いのが気になった。舞台上では表情・視線なども審査に影響する重要なファクターなので、自信満々でステージングをこなして欲しい。

5位・岩田、6位小坂は共に、長身で筋肉的には充実したカラダだ。しかし自身のポテンシャルを最大限に発揮させるには、ポージングの研究が必要になってくるだろう。一概にポージングと言っても、重心の位置だとか、肩関節の位置、指先の形などをほんの少し変化させるだけで見え方が全く変わってくるものだ。自分の姿を鏡で見て、ひたすら間違った形を練習してしまってはいけないので、誰か客観的意見を言ってくれる指導者を捜し、見てもらうべきだと思う。

 

第1回 オールジャパンフィットネスビキニ選手権 決勝進出者

 

158cm以下級

左から4位・花木緑(愛知)、5位・森本絵梨奈(大阪)、2位・三船麻里子(東京)、1位・大里晴香(福岡)、6位・藤松直子(愛知)、3位・礒野かおる(兵庫)


このクラスは5月の大阪オープン大会で総合優勝した礒野とクラス2位の三船の優勝争いになると誰もが思っていた。ところが、結果的には伏兵の大里晴香が優勝を獲得した。大里の優勝は本人でさえも予想していないほどの、今大会一番のサプライズとも言える。他の選手にはない、いわゆるダイナマイトボディは今後、日本フィットネスビキニのベーシックになるかどうかわからないが、いかにもポテンシャルは高く、ウェストや脚部のシェイプが実現すれば、海外でも通用する能力の持ち主だと見た。しかし現時点でその能力を見抜いて評価した審査員には敬服するばかりである。

2位・三船は5月の大会同様、エレガントな振る舞いが型にハマっていた。前回のレポートにも書いたと記憶しているが、ビキニ競技が最もフィットする。

3位・礒野は今回、結果的には悔しい想いをしただろうが、前回優勝に甘んずることなく、ビキニの選手としてカラダの仕上げ、ポージング、表情に至るまで完璧であったと思う。本当に素晴らしかった。

4位・花木もビキニらしいカラダつきをしているので、より明るい雰囲気づくりを考えていけば、すぐにでも上位争いができる逸材である。

5位・森本は明るい雰囲気で、今回はかなりシェイプしてきた。上体が間延びして広がりがなくなってしまうので、ポーズの取り方を研究していけば、納得した結果も得られるようになるだろう。

6位・藤松はヒップと脚のラインがとても良いのでポーズの改善をすることでもっと良くなると思う。それから、サンダルの色と形状が競技にフィットしていないので、次回は是非とも変更していただきたい。

 

163cm以下級

左から6位・杉浦能理子(京都)、1位・荻山はるか(愛知)、5位・横田なおみ(千葉)、3位・菅原ジョイ(東京)、4位・石上匡子(東京)、2位・谷口ナオミ(大阪)


ミドルクラスは日本人の体格的には最もバランスのとれた選手が揃うクラスである。決勝進出者は皆、特に悪いところは見当たらない。それでも順位を付けなければならないところが辛いところだが、大阪オープン大会でも優勝をした荻山はるかが今回も優勝した。本格アスリートとして鍛え上げられてきた肉体は、非常にシャープであり、また舞台度胸もあり、笑顔がとてもかわいらしい。笑顔は審査にも影響する重要な要素であることは確かだが、いかにも作り笑顔というのは良くない。その点、荻山の自然な笑顔は惹きつけられるものがある。

2位・谷口も負けず劣らす笑顔がかわいい選手だ。ボディフィットネスで何度が見た選手であるが、これほどまでにフィットネスビキニにマッチするとは思っていなかった。荻山との差はごく僅かだったので、今後もビキニで頑張ってほしい。

3位・菅原は大人の雰囲気を醸し出し、カラダも均整がとれている。普段はパフォーマンスを指導される側なのでステージングはお手のものといった感じ。

4位・石上は細身ではあるが、仕草がとても女性らしく、もう少し肉付きがよくなってくると、順位は必然的に上がってくるだろう。

5位・横田は5月の大会で準優勝で、すっかりビキニのイメージが定着したようだ。特にポージングは安定しているので、今後はカラダの質感を良くすることを研究すれば、もっと順位は上がるだろう。

6位・杉浦はボディフィットネスの選手であるが、今年はオフの予定が急遽ビキニ参戦となったようだ。舞台慣れしていてポージングはとても上手い。ポージング自体は全く問題はないが、ちょっとした間の取り方などがボディフィットネス的に感じる場面があったので、競技によってポーズを変化させられるよう練習が必要になってくるだろう。

 

163cm超級

左から5位・戸澤まり(埼玉)、1位・新井敬子(大阪)、2位・椎名智香子(千葉)、6位・蒲生恵美子(福島)、3位・丸山典子(東京)、4位・関貴子(大阪)


長身のこのクラスはさすがに迫力がある。なにしろ身長170cmの選手はヒールを履くので、180cm以上になる訳なので。優勝争いは、ベテランの新井敬子、そして今回競技初参戦の椎名智香子に絞られていった。新井はボディフィットネスにおいてのベテラン選手であるが、近年絞りが甘い印象があったが、ビキニ初参戦の今回はきっちり照準を合わせて調整をしてきた。もともと体型的なアドバンテージを持つ選手であるが5月の大会の時には審査員を行っていた。初めてのビキニのステージを目の当たりにしてから、今回は選手として頂点に立った。短期間での調整と勝ちに行く姿勢はお見事としか言いようがない。

2位・椎名は初めてのステージであったにもかかわらず、ダンスの先生で舞台慣れしているので、すでにベテランのようなステージング。プロポーションも良く今後さらによくなっていくだろう。

3位・丸山はボディフィットネスのベテラン選手で、独特の色っぽさはビキニでさらに映えていた。

4位・関は5月の大会の入賞者だが、髪型を変えたせいか同一人物だと思わなかった。なかなかいいものを持っているのでさらに完成度を高めることで、上位を目指して欲しい。

5位・戸澤は長身で細身のタイプで、他のコンテストでもなかなか評価されなかったが、段々よくなってきている。粘り強くカラダ作りをしていって欲しい。

6位・蒲生は筋量がありそうなので、もっとシェイプをすれば、それなりのカラダになるのではないかと思うが、水着の形状が良くないのでベーシックな形に変更してもらいたい。
Photo & Report :
Yasu Nakajima
フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 003 ]

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