こちらの記事で炭水化物について述べました。そこで、ここでは専門的に話を進めていきたいと思います。
2種類の炭水化物
すべての炭水化物食品は、グルコースとして(血糖として知られている糖)血液中に入ります。グルコースはすい臓を刺激し、インスリンと呼ばれる特別なホルモンを分泌させます。インスリンは、どのくらいの糖が血液中にあるかを調節しています。
グルコースが血液中にたくさんある場合、体は多くのインスリンを分泌します。逆に、血液中に非常に少ない場合は、体は少量のインスリンしか分泌しません。
インスリンには、3つの働きがあります。まず、血液から糖を運び出し、組織中に蓄える。組織というのは、肝臓、筋肉、そして脂肪です。最初の二つの場所はよいのですが、最後のは、減量しようと思っている人にとっては好ましくない場所です。
炭水化物には2種類あります。モノサッカライド(単糖類)として知られている単純炭水化物がその一つで、果物、フルーツジュース、ハチミツ、ジャム、砂糖、ソーダなどに含まれています。
もう一つの炭水化物は、単純炭水化物がつながって、複合した、または長い鎖でできた炭水化物のことです。一般的な複合炭水化物の例をいくつかあげてみると、ジャガイモ、さつまいも、米、そば、うどん、パス夕、マメ、全粒粉パン、オートミールなどです。
単純炭水化物は、簡単にすばやく分解、消化、吸収されます。結果として、糖が血液中に急激に入り、体は一度に多くの糖が血液中にあると感じます。この反応は、状況に対処しようとして起こるものです。
血液中に多くの糖がある、または一度に多くの糖が入ると、すい臓はより多くのインスリンを分泌します。逆に複合炭水化物は、単純炭水化物よりインスリンを少なく分泌させます。
なぜなら、体はまず長い鎖を裂き、複合炭水化物をつくっている単純炭水化物の鎖から糖を一つずつ切り離していかなければならないからです。その後、長い鎖から切り離された糖が血液中に入っていくわけです。
単糖類と複合炭水化物の違いは、血液中にグルコースとして入る時の速度と、分泌されるインスリンの量です。
簡単な例をあげてみましょう。フルーツジュース200カロリーとジャガイモ200カロリーを比べてみます。カロリーは同じですが、インスリンの分泌量が違うのです。
単糖でできているジュースは、血液中にすばやく入り、そこで急激な糖の蓄積を起こします。体はインスリンを分泌し、血液中の糖の値を下げ、正常値である70〜110 に近づけようとします。
200カロリーのジャガイモを食べた場合、体は複雑な鎖をつくっているそれぞれの小さな糖の結合を分解しなければなりません。それゆえ、フルーツジュースの場合と比べて、糖はゆっくりと血液に入り、血液中にたくさんの糖が一度にあるということは起こりません。血液中に糖が少なければ、体は少量の糖を処理すればよいのですから、インスリンの分泌も少なくてすむわけです。
しかし、すべての単純炭水化物が、常に炭水化物源として悪いわけではありません。フルーツは果糖を含んでいます。これは特殊な糖で、体によって利用される際にインスリンを必要としません。ですからフルーツは、カロリーも低いですし、ウェイトを気にしている人にとっては、よい食品、賢い選択といえます。
逆に複合炭水化物でも、食べ方によっては、インスリンを大量分泌させることがあります。一回の食事で多くの炭水化物を食べれば、炭水化物は比較的はやく吸収され、血液に入ります。これが起こると、体は過剰な糖を処理しようと大量のインスリンを分泌することによって、血液から大量の糖を取り除こうとするでしょう。
このようにインスリンの値が高ければ、脂肪の蓄積が起こりやすいということを忘れてはいけません。
食物繊維は減量の味方
多くの人が、食物繊維は減量に役立つものだと言っています。私も同感です。食物繊維は糖に作用し、内臓からの炭水化物の放出をゆっくりとしたものにします。
食物が内臓からゆっくりと放出された場合、つまり消化がゆっくりということですが、最終的に炭水化物中の糖がゆっくりと血液に入るのです。糖が血液にゆっくりと入った場合、分泌されるインスリンの量は少なくてすみます。
マッシュポテトは、まったく同じカロリーのベイクドポテトに比べて、ダイエターにとっては悪い食品です。なぜなら、マッシュポテトには食物繊維がなく、普通のポテトよりはやく糖が血液中に入るからです。食物繊維はまた、それを食べない場合と比べて、人に満腹感を与えることが明らかになっています。
食物繊維は、カロリーを加えることなしに、舌触りと味を加えます。専門的には、食物繊維は、“消化できない”物質です。多くの人はそれを炭水化物だと思っていますが、それは間違いです。食物繊維が複合炭水化物に多く含まれているので、そう思ってしまうのでしょう。
食物繊維は、体によって分解できません。それは人間の消化器官を、カロリーを与えることなく通過します。100カロリーのブロッコリーは、体にとってはOカロリーです。実は、野菜を通過させるのに、エネルギーがいるからです。ですから、ほとんどの野菜の正味のカロリーは、むしろマイナスです!
しかし、トウモロコシやマメのような野菜はカロリーを与えます。複合炭水化物だからです。この場合も、体が使う炭水化物は皮の内側です。外側は、すべての食物繊維のように体を通過します。
食物繊維は、野菜、全粒粉パン(食料品屈で、売っている空気のように軽くみえる偽の全粒粉パンではない)、それに自然から取れる食物(人間のつくったものではない)に含まれています。食物繊維が豊富な自然の食物といえば、ジャガイモ、さつまいも、玄米、オートミール、マメ類、根菜類、それにすべての果物と穀類です。
私たちは、これらの食物をほんの少ししか口にしません。代わりに、白いパン、クラッカー、白い小麦からつくられたパス夕、白い小麦をつかった製品全般、白米、ソーダ、フルーツジュース、フルーツュースを偽った甘い飲み物、キャンディー、アイスクリームなど・・・・これら精製された食品は、食物繊維を含んでおらず、食物繊維を含んだ自然の食品に比べてインスリンを大量に分泌させます。
ですから、アメリカ合衆国の人々は、歴史上かつてないほどヘビーなのです。