スリムな身体型な故にオシャレなファッションもフィットする
ブラジルを起源とする格闘術カポエィラ。踊りのような回転蹴り、派手でパワフルなアクロバットなど、カポエリストは驚異的な身体能力を誇る。過激なパフォーマンスの繰り返しとウェイトトレーニングでカラダ作りをしてきた“カポエィラのお兄さん・カツオ”こと齋藤和宏選手は、顔面骨折という困難とそのコンプレックスを乗り越えて、再びステージで輝いた。
Q.昨年ベストボディで初めてカツオくんの姿を拝見したのですが、まずはそこに至るまでの話を聞かせてください。
もともと飛んだり跳ねたりするのが好きで、ディズニーで4年くらいショーに出ていて、カポエィラのような動きをしていました。
Q.確かにその爽やかな笑顔はディズニーにいそうですね(笑)。
ありがとうございます。でも、その3年目の中頃に顔面の骨を折る大けがをしてしまいました。天井が低いところで宙返りをしたら顔から落ちて顔面骨折で顎の骨が中に入り込んでしまいました。ケガをした後しばらくは、ずっとコンプレックスを感じていたのですが、昨年ベストボディでまたステージに上がるきっかけができて、また入賞という結果が得られたので、それが良いきっかけになって、自信が蘇ってきました。だから次にコンテストに出るときには、もっともっと上を目指していきたいです。
テーマパークでショーに出演していた頃
Q.カポエィラはどのくらいやっているのですか?
7〜8年やっています。
Q.それ以前にはスポーツの経験はありますか?
もともと体育大学で、筋肉の研究をしていたのですが、特定の部活には所属しないで体操部に遊びに行っていたら、飛んだり跳ねたりすることが面白くなってしまって、ディズニーのオーディションを受けたら受かってしまいました。
Q.ディズニーでショーに出ていた頃は既にカポエィラをやっていたのですか?
はい、やっていました。カポエィラの方が先です。
Q.カポエィラはどのように知ったのですか?
高校生の頃に、筋肉番付という番組をやっていて、そこにカポエィラをやっている人が出ていて、それを見た時にすごくかっこいいと思って、「よし、これやろう!」と思って始めました。
Q.カポエィラのあの動きはやろうと思ってすぐできるものではないですよね?
そうですね。まず謎めいていました。動画とかいろいろ見て調べましたが、それでも、これでいいのか?と謎めいていました。どうしてあのようなトリッキーな動きになるのだろう?とか考えていました。それが分かり始めたのは基本をずっとやっていて、ようやくこれが繋がるんだと理解するようになりました。
ステージ復帰はベストボディジャパンの舞台だった
Q.カポエィラには基本トレーニングのようなものはあるのですか?
いえ、ほとんど実践すること自体がトレーニングになっています。それにプラスしてバナメイラと言って逆立ちをしまくったりします。
Q.もともと逆立ちとかそういう動きは得意だったのですか?
そうですね。好きでした。だいぶ好きでした。
Q.例えば、バク転とかカポエィラを始める前からできたのですか?
見るのは大好きでした。もともと仮面ライダーの外、変身前を演じたくてバク転とか練習していました。
Q.カポエィラを始めたのが8年前くらいということは学生時代からですか?
そうです。でも、学生の頃、カポエィラをやっているところが近くに無くて、なので動画を見て勉強していて、東京に出てきてからやっとカポエィラ教室に通えるようになりました。大学の頃はしょうがないので、体操部に行って、バク転とか宙返りとか磨いていました。
Q.カポエィラには団体のようなものがあるのですか?
今はとても増えて各都道府県にあるくらいに広まってきています。
Q.国際的に統一された団体はあるのですか?
一応、有名なのがアパダ・カポエィラという団体があります。それは世界中にあります。ブラジルに本部があり、各地に支部が分かれているという感じです。ウチの団体、カポエィラ・テンポもブラジルに本部があって、そこから支部に分かれています。
Q.ブラジル本部に修行に行かれるのですか?
僕はまだ一回しか行ったことがないです。
Q.ブラジルでの修行はどのようなことをやるのですか?
それはもう鏡とかもないコンクリート造りの道場なのですけど、その中でひたすらカポエィラの動き、引っかけたり掛けたりの繰り返しを行います。あとは海に行って、アクロバットの練習もします。良い意味で泥臭い練習をします。
Q.そもそもカポエィラは格闘技から来ているものなのでしたね?
そうです。格闘技の練習として、ダンスにごまかして格闘技の練習をしたのがきっかけと言われています。昔、まだ奴隷制度があった頃、奴隷の人達が支配者の目にうつらないように格闘技の練習をしていたのがはじまりです。脱走者が追いかけてくる支配者を茂みに隠れて迎撃したという、その場所が“カポエィラ”という場所で、それでカポエィラとついたということです。
Q.みんなで歌いながらやっていますが、あれは何語ですか?
ブラジルのポルトガル語です。意味としては無いものを歌ったり、あとは黒人のことを歌ったり、あとは掛け声だったりします。
Q.歌詞は決まったものがあるのですか?
はい、共通のものがあります。その団体だけで歌うものもあれば、カポエィラをやっている者、共通に歌うものもあります。
Q.ずっと歌っていますが、歌詞を覚えるのは大変じゃないですか?
そうですね。いろいろ先輩方に聞いて覚えます。年に一回はブラジルから先生も来るので、その時に話せないとダメなので、ポルトガル語の練習もしつつやっています。これからブラジルではワールドカップとオリンピックが開催されますことになっているので、航空券が高くなってしまって、次に先生が来る予定がワールドカップ期間中なので、延期になってしましました。
Q.言葉はわからないですが、カポエィラの歌は根本的に思想的に、魂の叫びのようなものを感じますが?
まさにそうです。土着の神々をたたえたりとかしています。自分も本場のブラジルで見た時には圧倒されました。