フィットネス事業に力を注ぐReebok。フィットネスを通して、ポジティブで健康的なライフスタイルをめざしているが、その方向性を同じくするフィジーク・マガジンには親和性を高く感じているという。
そこでリーボックで主にトレーニング・スタジオカテゴリーを統括する杉山大祐氏に今後のフィットネス事業の展開とフィジーク・マガジンとの可能性についてお訊きした。
健康的なライフスタイルへの取り組み
― まずReebokが取り組むフィットネス事業についてご説明ください。
杉山 Reebokのブランドロゴであるデルタマークが象徴するように、フィットネスは、私たちの生活面において「フィジカル」「メンタル」「ソーシャル」に“ポジティブな変化”をもたらします。これはフィットネスを通し、健康的でポジティブなライフスタイルを取り入れることで、肉体的、精神的、さらにはその周囲の人々やコミュニティにもより良い変化をもたらすというReebokブランドの考え方を象徴しています。
Reebokは競技スポーツとは異なる、個々のライフスタイルに根付いたフィットネスに対する製品を消費者へ届けています。トレーニング、スタジオフィットネス、ウォーキング、ランニングカテゴリを中心にアパレルからシューズまで幅広い製品を展開しています。特に、年齢・性別に関係なくフィットネス・トレーニングを週3回以上、日常的に取り組む人をメインターゲットに製品開発しており、エントリーレベルはもちろんのこと、プロフェッショナルの方にも納得いただける本物志向のブランドといえます。
Reebokが2010年よりグローバルパートーナシップを結ぶファンクショナルトレーニング「クロスフィット」を通して日本に新しいファンクショナルフィットネスの波を創り出そうとしています。それに伴う専用のウェアやシューズを拡充しながら、クロスフィットをより多くの方に体験してもらえる場を作る活動しています。
またそれ以外にも様々な分野のトレーナーやインストラクターの方とパートナーシップを結び、Reebokというトレーニングコンテンツを広げる活動をしています。商品としても、クロスフィットシリーズだけでなく、より汎用性の高いジムでのトレーニングに適したライン「ワンシリーズ」というプロダクトラインナップも展開しています。
今年の春夏からランニングアパレルの展開もスタートし、ランニングもアパレルからシューズまでトータルでコーディネートを提案していきます。さらに2015年は、レーシングカーのタイヤからインスパイアされたソールが特長のZクイックにリーボック独自のテクノロジーを加えた革新的なシューズを3月に発表する予定です。それに合わせ、毎日異なるコンテンツでReebokのランニングスタイルを伝えるランイベント「Reebok 7days Running」というイベントも3/10より実施予定です。
― ReebokONEというオンライシステムがありますが、その内容とこれからの展開についてお聞かせください。
杉山 ReebokONEは2013年に立ち上げた、世界中で活躍するフィットネスのインストラクター、トレーナーと交流できるオンライコミュニティサイトの総称です。インストラクターとトレーナー限定で、おそらくこれまでになかったサイトだと思います。その資格を証明できるアプリケーションを提出していただき、審査します。審査を通り登録できた人は、その「ReebokONE」内に自分自身のWEBページを開設することができ、写真のアップロードやプロフィール、資格・専門について情報の掲載・更新を自由におこなってカスタマイズすることができます。
Reebokというフィットネスブランドとして、フィットネスカルチャーや製品を伝えていくためには、インストラクターやトレーナーは重要な存在。憧れのインストラクターやトレーナーの方たちがどんなものを身に着けているかはお客様は気になるものです。その方々を通してReebokブランドを知って、使っていただける機会が生まれるからです。
現在、「ReebokONE」のコミュニティ化をグローバルレベルで強化するとともに、「ReebokONE」に登録されている方々の中から専属契約を結ぶインストラクターの皆さんとのマーケティング活動にも注力しています。それがReebokONEアンバサダーです。
― ReebokONEアンバサダーのみなさんはどのような方たちで、その果たす役割をお聞かせください。
杉山 ReebokONEアンバサダーとは、「ReebokONE」コミュニティをリードし、リーボックのパートナーとして活動するフィットネスのインストラクター、トレーナーの方たちのことです。選ばれる条件としては、Reebokとの相性、考え方、姿勢が重視されます。要するに、フィットネスを通じて自分を高められている方で、そしてそれを広めようというポジティブなマインドを持っている方です。
フィットネスを通して、ポジティブで健康的なライフスタイルを日本中に広めていくことがReebokとアンバサダーの共通ミッションだからです。具体的には、商品開発に伴うプロの視点からのフィードバックであったり、ジムでのコンテンツ開発、フィットネスイベントの実施など様々な取り組みを行なっています。フィジーク関連では
有馬康泰さんやシエカさん、クロスフィットでは
Ayaさんなどですね。
媒体のReebokONEアンバサダーの役割
― フィジークマガジンには好印象を持たれているとお聞きしていますが、ご覧になられての感想、将来性、可能性などについて率直にお聞かせください。
杉山 我々にとってフィジークマガジンは、親和性のあるもので、パートナーシップを秘めていると思います。フィジークは昔からある、いわゆる「ボディビル」という分野から一線を画し、体をいかに魅力的に美しく鍛えるかという、新しい分野が登場したという印象を受けています。威圧的な印象ではなく、もう少しハードルを下げてより多くの人がトレーニングできるきっかけをつくってくれる存在になると思います。
そして、なによりフィジークマガジンを見て思うのは、綺麗な体ができたときのゴールというよりも、その過程、すなわち体を鍛える中での心の成長や新たな自分を切り開くきっかけとしてのツールである、という感じを強く受けています。トレーニングを通して「自らの可能性を最大限に高める」という姿勢、また「同じ目標を持った仲間とともにお互いを高め合う」というフィジークを通したコミュニティのつながりは、Reebokが共感できる点であり、Reebokが伝えたいメッセージとも大いに通じる点です。
それを実現するには、正しい知識を持ち、ステップバイステップでトレーニングをしなければなりませんが、その手助けをしてくれるとても有効なひとつの媒体ではないかと思っています。これからもカラダづくりのやり方や知識を正しく伝えていくという軸はぶらさずに雑誌づくりをしてもらいたいと思います。
また、我々は先ほど述べたとおり、クロスフィットをはじめとしたトレーニング分野における強いコンテンツを結んでいる様々な分野のトレーナー、インストラクターの方と共にフィットネス業界を盛り上げようとしています。そういう意味においても、我々のブランドとの共通点を非常に多く感じています。媒体のReebokONEアンバサダーという役割を期待しています。
― Reebokのラインナップではスポーツフィットネスの中に、トレーニング、ランニング、ウォーキング、クロスフィット、スタジオ、ヨガという大きな柱で分類されていますが、今後フィジークという競技を一般化させるための要望、もしくは提案などはございますか。
杉山 まずより多くの人がこのカテゴリーをより身近に感じ、インスパイアされるようになっていただければと思います。そのためには体を鍛えるということを通して、より魅力的な体や健康が手に入れられるだけでなく、ライフスタイルそのものを豊かにできるという考えそのものを、軸をぶらさずに地道に広げていっていただければと思っています。また、Reebokというブランドとコラボレーションしてフィジークをより身近に感じてもらえる場や機会を創出していきたいです。
我々のビジネスの基幹のひとつであるウェアという点を見ても、今後できることは多くあると思います。たとえば、我々の商品の代表的なひとつに「トレーニング用の
ボードショーツ 」というものがあります。これはそもそもクロスフィットのアスリートがクロスフィットのトレーニングや大会でボードショーツを着用しており、クロスフィットで必要とされる機能や素材を通常のボードショーツに融合させ、とてもユニークなデザインとともにカスタマイズし、トレーニングシーンにおける不可欠なギアのひとつとして展開しています。フィジークのコンテストでは、ボードショーツを身にまとってその素晴らしい肉体美をみなさんが表現されていますが、我々もそんなところで何か接点が持てれば、それがきっかけとなってより面白く、また相互にメリットを創出できるのではないかと考えています。
商品だけでなく、我々は様々なフィットネスコンテンツやそれにまつわる活動をマスに向けて発信している「リーボック+フィットネス」というオンラインプラットフォームも有しています。それらを有効活用してフィジークをより多くの方に興味喚起を促すことができればと思います。