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筋肉の深部にアプローチする「 スポーツアロマ 」とは?



アロマセラピーというワードは今でこそよく耳にするようになりました。テレビCMでも、柔軟剤やヘアーケア用品、缶コーヒーに至るまで「アロマ」という言葉を使ってCMが流れたりしています。こうして日頃の生活の中にも「アロマ=いい香り」は浸透し、意識する人も多くなってきています。

私自身が活動をしている中で、アロマセラピーが『癒し』には結びつく人は多いものの、まだまだ『エステ・美容』といったイメージを持つ人も多く感じます。それは確かに間違いではありませんが、アロマセラピーのもっと有意義な活用法はそれだけでなく、まだまだ知られていないのが実情です。

特にアスリートやトレーニング実践者には、ただ「いいにおいがする」だけでアロマを使うのでは、とてももったいないことなのです。『アロマセラピー』では、天然の植物から抽出された 『精油(エッセンシャルオイル)』というモノを扱うのが特徴ですが、この『精油(エッセンシャルオイル)』には植物が持つ様々な薬理・薬効成分が含まれているのです。

湿布とか痛み止めの薬に含まれている鎮痛成分や、疲労物質の1つ“乳酸”を早く体外に排泄させる成分が含まれていたり・・・火傷や日焼け後の赤くヒリヒリした肌の炎症を抑える消炎成分・・・などなど。その他にも有用な天然の成分がたくさん含まれているのです。

こうした有用成分が、アロマオイルを用いたトリートメント(マッサージ)や吸入によって、皮膚や粘膜を通して血液の中に取り込まれ、血液循環によって全身を巡り、身体の組織や各器官に影響を与えてくれるので『身体』や『肉体面』(フィジカル)+『心や感情、精神面』(メンタル)そして肌(皮膚)へと同時に3つの働きかけをしてくれるのです。

例えば、心配事があると眠れない日が続いて身体の疲れがとれなくなり、肌も荒れてしまう…とか、ストレスから胃が痛くなって、顔に吹き出物が出来るなどということを一般的によく聞きますよね。このように、『身体』と『心』と『肌』は全て繋がって影響しあって自分自身に現れます。この『身体』と『心』と『肌』の3つ同時に働きかけて、それぞれに効果を発揮し、今ある健康の維持や増進、そして本来持つ自然治癒力を高めることが出来る自然療法が『アロマセラピー』なのです。


スポーツアロマとは?




そんな『アロマセラピー』をスポーツの分野に取り入れて、アスリートや選手の怪我の予防や筋肉痛の緩和、早期の疲労回復、ホルモンバランス調整など、スポーツをする際のコンディショニングに活かしたものを『スポーツアロマ』と称しています。

心身共にアプローチする方法でスポーツでは致命的とされる怪我の予防に役立つことから、近年では、他競技にわたりスポーツコンデショニングの1つとして『スポーツアロマ』が大変注目されています。

スポーツアロママッサージを行う際に最も重要なのがアロマオイルのチョイスである。ヒアリングを通じて、その人には今何が必要なのかを、すぐに察知するにはアロマの知識だけでなく、豊富な経験が必要になってくる。



スポーツアロマとアロマセラピーの違いとは?




スポーツアロマもアロマセラピーも、「天然の精油を用いて、植物の香りやその中に含まれる薬理・薬効成分を活用した自然療法」という点では一緒なのですが、スポーツアロマはスポーツの競技能力やパフォーマンスの向上、怪我の予防を目的にしているので、まず活用の目的が異なります。もちろん競技能力に関係するメンタルへのアプローチとして、プレッシャーなどによるストレスを軽減させたり、睡眠を促したりと、平常心でいられるための手助けとしてリラクゼーション目的で香りの活用や施術を行なう場合もあります。

ただ、施術の際には選択する精油を「香り」より「薬理・薬効効果」を重視する場合もあるので、アロマセラピーではあまり使うことのない精油も多く扱う上に、精油の希釈(薄める)濃度もリラクゼーションのためのアロマセラピーとは大きく異なってきます。

そして、トリートメント(マッサージ)テクニックも、筋肉の深部へとアプローチする手技に加え、ストレッチを組み合わせていくのがスポーツアロママッサージの特徴と言えます。


スポーツアロママッサージで出来ること




たくさんあり過ぎて何から書こうかと思うほど(笑)。

トレーニングの前や試合前では集中力を高めたりウォーミングアップの一環としてアロマを活用することが出来きます。香りを嗅ぐだけで自分の世界へと入ることが出来る選手もいるほど。また匂いというのは、記憶と密接な関係にあるために、良い記録や結果が出せた時に用いた精油の香りを嗅ぐとその時のことが思い出されて「良いイメージ」を持って競技に向かえる選手もいます。

スポーツアロママッサージの施術では、素早く筋肉を温めることが出来るため、筋肉の柔軟性や関節の可動域を短時間で向上させる事が可能です。ただ、試合直前などは筋肉の柔軟性を高めすぎると筋肉反射が鈍くなり思うように体が動かなくなってはいけない為、血行を促す為の施術に留める場合もあるなど、その時々の判断が重要になってきます。

トレーニングや試合後では、呼吸の回復を手助けして筋肉の疲労を取り除き、運動後の固くなった筋肉の柔軟性や弾力をいち早く回復させるなど…スポーツ障害の予防やオーバートレーニング症候群に対する気づきの手助けにつなげることが出来ます。

実際に欧米では、男性・女性・競技を問わず、それぞれの選手がチーム専属のセラピストにトリートメント(マッサージ)を施してもらうことをしていたり、同時に、ストレッチと同じくらいアロマオイルでセルフケアをすることが重要視されているといいます。いいコンディションの肉体を維持するためには、常日頃からのケアが必要で、そのためには疲労を溜めないこと、早く取り除くことが重要で、アロマの効果を知っているトップアスリート達はすでにコンディショニングに取り入れているのです。


スポーツアロマトレーナーの役割


パーソナルトレーナーとして、メンズフィジークの選手として活躍している「Body Work Space EVOLVE.」代表の有馬康泰氏にスポーツアロママッサージを体験してもらった


スポーツアロマトレーナーとは、 NPO法人日本スポーツアロマトレーナー協会が認定する資格で、「スポーツに関わるすべての人々のために、スポーツアロマセラピーを活用しながら、選手の競技能力の向上と心身のケアを目的にサポートする者をスポーツアロマトレーナーという。」と定められています。

スポーツドクター、管理栄養士、チームの監督・コーチ・ATなどと連携を図り、スポーツアロママッサージ・ストレッチの手技だけではなく、フィジカルチェックからRICE処置などを学びサポートに努めています。

2020年、東京オリンピック開催が決まって以来、大変注目をされているスポーツアロマですが、出場選手が大会当日の「その時」に心身ともに最高のコンディションで臨むことが出来る・・・そんな手助けを、日本スポーツアロマトレーナー協会としてもチームを組んで出来ればどれほど幸せか。そんな目標と夢をもって活動しています。

そして、知識や技術だけでは無く人としての人間力も高めていくことが大切だと考え、選手との信頼関係を築くこと、そして、選手と選手に関わる人たちの理解を得て、必要を感じてもらうこと。そこからスポーツアロマの活用は始まり大きな活動になっていくのだと信じています。


パーソナルトレーナーとしての業務、そして選手としてのトレーニングで普段から身体を酷使している有馬氏曰く、「今まで色々なマッサージや整体を受けてきたけれど、単なるマッサージなどと違って筋肉の奥まで入っていく感覚は今まで体験したことがない。ぜひまたやってもらいたいです」とのことで、アスリートのケアにはお勧めできるマッサージだ。


  • 小林 憲子(こばやし・のりこ)
    JSTA認定スポーツアロマトレーナー
    英国IFA・IFPA認定アロマセラピスト
    関西で2,000人以上の卒業生を送り出している大手アロマテラピースクールで 長年に渡って理論・実技の講師を務めた経験を持ち、アロマセラピストとしても「心・身体・肌」のつながりや関係性を意識した施術を提唱。またフィットネスインストラクターの経験を活かし、身体と筋肉の関係を考慮した丁寧かつ的確なトリートメント技術と香りの選定が話題を呼び、アスリートのクライアントも多い。通信販売会社フェリシモでは、オリジナルアロマ化粧品やブレンドアロマオイルのアドバイザーを務めた経験を持つ。また、専門学校のスポーツ科学科で特別授業も担当するなど、スポーツ業界へのアロマセラピーの普及に力を注いでいる。現在は、広島県福山市でアロマセラピースクール・サロン『心音 〜 sion 〜』を主宰。

    ※本誌姉妹紙「月刊ボディビルディング」にて『sionのアスリートに役立つアロマコンディショニング』を連載中

Studio :
Body Work Space EVOLVE.
MODEL :
有馬 康泰(ありま みちひろ)
フィットネス&ボディメイク情報誌
[ PHYSIQUE MAGAZINE 005 ]

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