「チャンピオンという者は、勝利ではなく失敗によって定められている」
私の最初の大会は17年位前。当時私はステージ上の選手たちの中で一番細い選手だったと覚えている。結果は最下位だったが、それでもその時はとても嬉しかった。なぜならコンテストに出たことで仲間たちに「私はちゃんとボディビルやっているよ」と言えるようになったからである。
アメリカに来ておよそ4年後、ワシントン州で2、3回ほど大会で優勝したのち、カリフォルニア州で最初に出た大会は『Muscle Contest』だったと記憶してる。その時私は、ワシントン州の時のようにまた優勝するだろうという望みを持って来ていた。自分ではベストコンディッションだと思っていたが、はっきり言えばそうでもなかったようだ。入賞もなく、トップ5でもなく、9位になってしまいその時はとても辛かった。
大会が行われていたVeteran's Memorialの会場から出た時はかなりショックで落ち込んだ。他の大会で優勝していて、この優勝者の私は頑張らなくても大丈夫だと考えていたので、自分のせいだと思った。
そしてVeteran’s Memorialの外の道の縁で座って泣いてしまった。しばらくすると自分の傲慢さに負けたということに気づき、その時から目が覚め、次の日からまたジムでトレーニングをして前進しようとしたのを覚えている。
最初のUSA Championshipでは望んだ結果が出なかったが、4時間カーディオを行い続け、その後トップ10に入った時はとても嬉しかった。そのスコアシートは冷蔵庫に張っていつでも見られるようにした。
その時はランニングマシンで走りながら、足から血が出ていると気づいても、止まることをしなかった。なぜなら祖父が一か月前に亡くなって、その祖父のために勝ちたいという気持ちが強く、自分を突き動かした。その結果2位を得た。その頃の失敗、苦労、転落は、その後の自分自身を大きく左右している。
最近の若い選手たちはすぐに優勝を求めて、そのことが人生のすべてみたいに何回も何回も失敗して立ち上がらないといけないことを忘れてしまう。失敗を繰り返す覚悟がないと、絶対にチャンピオンにはなれない。
ビキニとメンズフィジークの選手の中には自分自身の忍耐が足りないように思える選手もいるように思う。2、3年間活動すると、すぐに文句を言ってしまう…ジャッジ、ステージ、照明 、なんでもかんでも問題はあるけど、一番大切なのは他のせいにしないということ…そして自分をよく見つめること。
優勝者は、フィットネスだけじゃなく、人生のすべての中で、『失敗は成功のもと』ということをよく知っている。若い選手たちはそれを忘れてしまっているので、私でも負けたことがあるというこのストーリを教えてあげたい。
今、私はすごく成功した「2回のMr.USA優勝者」として知られているけれど、実はほとんどの大会に参加した時、負けていたことを誰も知らない。何回もの負けで、がっかりして泣いてしまったが、自分以外のせいにしたことはない。
優勝、成功、光栄は混乱も、失望も、痛みも、言い訳を認めなく、何回も何回も高く立ち上がる者のみが獲得できるものである。