写真:MUSCULAR DEVELOPMENT
2016年3月、アメリカで開催されたアーノルド・アマチュアに今年もNPCビキニ・アスリートの野田真奈選手が参戦した。
トレーナーとして野田選手をサポートするのは、美尻美脚をコンセプトにしたフィットネスアスリートチーム『TEAM BOOTY』の代表を務める麻生氏だ。
元ボディビルダーという経歴を持つ麻生氏は、自らもアメリカにおいてBIKINIディビジョンのトレーニング、ポージング、ウォーキング、ヘアーメイク等を学び、これを活かした本場のBIKINI指導を日本で行い、国内選手のレベルアップ、パフォーマンス向上に向けて尽力している。
また、フィジーク選手、ベストボディ選手の指導育成を行い、海外だけでなく国内コンテストにおいても数々の入賞者を輩出するなど、実績を誇るトレーナーである。
しかしながら、日本では海外コンテストに関する情報が少ないため、競技ルールや出場するための資格および手順などについて気になる方もいるのではないだろうか。
今回はそんな疑問に答えるべく、選手のサポートを行うトレーナー麻生氏の視点で、野田選手をモデルに、アーノルドの出場資格や競技ルールについてご紹介しよう。
2016年3月3日〜6日にアメリカ・オハイオ州コロンバスで開催された、アーノルド・スポーツ・フェスティバル。IFBBが主催する2016年最初の世界選手権でもあるArnold Classic Columbus。
このマッスル競技のアマチュア部門である、アーノルド・アマチュアのBIKINIカテゴリーに、NPC(National Physique Committee)ビキニ・アスリートの野田真奈(MANA)が参戦しました。
MANAにとって今回で2度目の挑戦となるアーノルド・アマチュアBIKINI。昨年9月にラスベガスで行われた『
Mr.Olympia BIKINI Model Search』で7位に入賞したMANAが、ルールや審査基準の異なるアーノルド・アマチュアでどう闘ったのかをフィジーク・オンラインをご覧の皆さまにご紹介いたします。
アーノルドの出場資格について
その準備は2015年のアーノルド・アマチュアが終了した翌月、4月からスタートしました。
アーノルド・アマチュア等、ナショナルクラスのコンテストに出場するには出場権を得なければなりません。事情を知らない方は、エントリーすれば誰でも出場できると思っている人も多いのですが、それは大きな間違いなのです。
アーノルドへの出場資格を得るためには、MANAが所属するNPCの中でもハイレベルなNational Qualifierのコンテストでトップ5以上の成績を出さなければなりません。
MANAは2015年4月にアリゾナ州フェニックスで行われた、『NPC THANDERDOME CHANPIONSHIPS 2015』で5位に入賞し、ここでアーノルド・アマチュアエントリーの資格を得ることができました。
そして2015年12月にエントリーを行い、いくつかの審査を経て、2016年2月。正式にコンペティターリストが公表され出場が決定し、ここからコンテストに向けての準備をスタートしたのです。
もちろん、カラダのコンディション造りに関しては、2015年12月からトレーニングメニューやダイエットプログラムもアーノルド向けに変更し、準備は整えてきましたが、リストが出るまでは未確定なので楽観視は出来ませんでした。
航空券、ホテル、レンタカーなどの予約を行いますが、この時期は価格が高騰したり、空室、空席が無かったりと、予約をするのも一苦労なのです。
出国、そして事前のレジストレーション
いよいよ3月1日。関西国際空港からコロンバスに向けて出発です。サンフランシスコからロサンゼルス経由でコロンバスに向かうこと、乗り継ぎ時間込みで約24時間のフライト。
3月2日の午前5時にコロンバス国際空港に到着しました。例年に比べ、今年は暖かく雪もありませんでしたが気温はマイナス6度。寒さが肌を刺すようでした。
3月2日(水)。この日は出場選手全員のレジストレーションでカテゴリー毎に身長や体重を測定し、エントリーリストと身分証のチェック。合格すれば赤色のリストバンドが腕に巻かれます。
午前9時。会場となるホテル、ハイアットリージェンシーのホールで行われるレジストレーションエリアに到着。
アメリカで活躍中!フィギュアのマッスルナデシコこと照井智恵選手
続々と世界各国から選手が集まり、レジストレーションの列がドンドン長くなるのですが一向に進みません。フィギュアのマッスルナデシコこと照井智恵選手とも合流し、アメリカ特有の時間に対してのんびりとしている文化により、並ぶこと2時間。
ようやくMANAの順番が来て身長測定、NPCカードとアメリカの運転免許証を提示し、無事にアーノルドの選手を証明する赤色のリストバンドを腕に巻いてもらうことが出来ました。
午後1時。時差ボケと長時間の移動の疲れが出たのでホテルに向かいアーリーチェックイン。MANAのホテル選びは簡単な調理が出来るよう、ミニキッチン、冷蔵庫、電子レンジなどがある所を選びます。コンテストが終わるまではスーパーに行き鶏肉やブロッコリーなどの食材を購入し、自分で調理をします。
翌日の3月3日に行われるプレジャッジに向けて、しばらく睡眠をとり、夕方には食事を済ませ、ボディカラーを塗ります。MANAは色に定評のあるPROTANを使用し、2〜3回に分けてカラーリング。約3時間で白MANAが黒MANAに変身です。
誰もが予期しなかった、プレジャッジ当日のルール変更
3月3日(木)プレジャッジ当日。朝5時に起床し、ボディカラーのリタッチ、ヘア&メイクを済ませます。
ホテルが会場から20kmほど離れており、フリーウェイの渋滞やパーキングが混むので、午前7時にホテルを出発し30分ほどで会場に到着。午前10時からの選手ブリーフィングまでのんびり過ごします。
この選手ブリーフィングで問題発生。当日になってルールが変更され、特にNPCの選手はビックリ。これまで、ハーフターンだったのがクォーターターンになり、バックポーズでは腰に片方の手を当てなければならず、髪の毛も背中や肩が見えるようにスワイプしなければならない事がわかり、選手は大慌てでポーズの練習や確認を行い始めました。
JBBFの場合はフィットネスビキニなので、もともとクォーターターンですが、NPCはビキニなのでハーフターンです。
また、バックポーズはJBBFでも経験の無い、片方の手を腰に当てるポーズとなり、IFBBフィットネスビキニ、NPCビキニ共に修正しなければならなくなりました。
ポーズチェックをしながら出番を待ちます。プレジャッジが始まりどんどん出番が近づいてきます。